狼な彼と赤ずきん
「アドラン……どうしてこんなことを……どうして、みんなを傷つけたの……!」



私は涙目で訴えかけた。


アドランは心外だという顔で肩をすくめる。



「お前がこの森に入ったっきり帰ってこないから、助けに来たんだ。怖かっただろう、『汚らわしき者たち』に監禁されて……」



「監禁なんかじゃないわ、私はここに住まわせてもらっていただけなのに!!」



「ああ、洗脳までされてしまったのか。大丈夫、俺が全部元通りにしてやる」



私が何を言っても、彼は聞く耳を持たない。


獣人は悪だと、そう信じきっているようだ。


彼に真実を伝えてを説得することができればすぐにでも医師たちを派遣してもらうことが可能なのだろうが、どうやらそれは叶わなさそうだ。



「さあ、行こう、俺たちの家へ。お前は俺の嫁になるんだからな」



アドランと結婚――?


駄目だ、なにかの悪夢のようだ。


くらくらと、ひどくめまいがする。
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