風便り〜大切なあなたへ〜
「えー!昨日、守屋くんと会ったの!?」
風香ちゃんの声が教室中に響いた。
周りの人の視線が痛い。
私は朝一で、昨日の帰りに、守屋くんと会ったことを風香ちゃんに伝えた。
「ちょっと、声が大きいよ・・!」
私も注目されてたから、ひそひそ声で風香ちゃんに言った。
風香ちゃんは、すごく興奮しているようだった。
「どんな人だった!?」
「どんなって・・うーん、悪い人じゃなかったよ?」
「かっこよかった!?」
「えー・・普通、かな?」
正直私は、かっこいいとか、イケメンとか、そういうのがわからない人種の人間だった。
だから、そう言うしかなかった。
「そっかー、普通かー・・」
ちょっと残念そうな、風香ちゃんの声。
風香ちゃんには、好きな人がいるのに、こういうことは気になるんだね。
女子だなー。
「なにか話した?」
「うん、ちょっと」
「全部聞かせて!」
全部はちょっと言いにくいなー・・。
押し倒されたことは、絶対に話せない。
その辺りのところだけ省いて、昨日あったことを話した。
「へー・・なんか俺様な人だね」
「そうかな?」
「そうだよ!私はちょっと、そういうのは苦手だなー」
そうなんだ・・。
確かにちょっと、上から目線の人だったかも?
でも私は、そんなに気にならなかったけどなー・・。