風便り〜大切なあなたへ〜
放課後。
帰ろうとしていたら、担任の小野先生が、私を呼び止めた。
「小林、ちょっといいか?」
「はい・・?」
なんだろう?
私、何かしたかな・・?
先生を見ると、ちょっと複雑そうな顔をしていた。
気づかないところで、何かしてしまったのかもしれないと、内心戸惑った。
「ちょっと聞きたいことがあるんだが、ちょっと待ってくれ」
「え?」
「お前ら!先生、小林と話があるから、お前らは早く帰れ!」
「えー・・!」
そう生徒が言うと、先生は、まだ教室に残っていた生徒の、背中を軽く叩いて帰らせた。
いいなー、私も早く帰りたいなー・・。
「・・先生、話ってなんですか?」
誰もいなくなったところで、私から話を切り出した。
先生は少し、真剣な顔つきに変わった。
いつも爽やかに笑っている先生しか知らない私は、少し心臓がびっくりした。
「小林、昨日、守屋に会ったらしいな?」
「え?」
予想外の質問だった。
「会ったのか?会ってないのか?」
「会いましたけど・・?」
「あいつ、どうしてた?」
先生、守屋くんのこと、心配してるのかな?
そうだよね、まだ一回も守屋くん、学校に顔出してないから、担任だったら心配だよね。
私は、先生が、守屋くんのことを心配して聞いてるんだと思った。
守屋くんのことを心配してくれる人がいて嬉しいと思った。
だけど、先生から出た言葉は、予想外の言葉だった。