風便り〜大切なあなたへ〜





「小林、あいつとはもう、関わるなよ?」


「え?」


「危ないから、あいつには近づくな。わかったか?」


「・・・」



先生は、私を諭すように言った。


わからないよ、先生・・。

どうして、そんなこと言うの?

先生は、守屋くんの担任の先生なのに・・。

入学式の時、守屋くんと仲良くしてやってくれ!って言ったのは、先生なのに・・。

どうして、そんなこと言うの・・?



「小林、わかったか?」



なにも言わない私に、先生は私の顔を覗き込むように、もう一度、優しい声色で言った。



「先生・・」


「なんだ?」


「・・わからないよ」


「なに・・?」



私の言葉に、先生の顔が、少し険しくなった。



「・・先生、どうしてそんなこと言うの?先生は守屋くんの担任の先生でしょ?なのに・・・どうして、そんなこと言うの?」



悲しくなった。

先生が、守屋くんを見てくれていない。

守屋くんを、心配してくれていない。

辛そうな顔をした、守屋くんを、助けてあげようとしてくれていない。


昨日の守屋くんの笑顔を思い出し、心が締め付けられた。


悪い人じゃ、なかったよ?

怖い人じゃ、なかったよ・・?


だから、先生もちゃんと、守屋くんのことを、見てあげて・・?





< 13 / 273 >

この作品をシェア

pagetop