風便り〜大切なあなたへ〜
「先生・・・守屋くん、辛そうな顔してたよ?傷ついた顔してたよ?先生なら・・先生なら、守屋くんのこと、助けてあげて・・?」
「小林・・・」
それだけ言って、私は教室から飛び出した。
返事を聞くのが怖かった。
教室から、先生の声が聞こえたけど、振り返らなかった。
思いっきり走った。
こんなに全力で走ったのは、中学以来だった。
昨日、守屋くんと会った土手まで走った。
途中、変な目で見られたけど、気にしないで走った。
昨日のタンポポが、目に止まり、私は足を止めた。
屈んで、タンポポを触った。
自然と、涙が溢れてきた。
守屋くんが、可哀想だと思った。
先生にまで、あんなこと言われて、とても悲しくなった。
しばらく、タンポポを見ながら泣いた。
昨日と同じように聞こえる、電車の音と、どこからか聞こえてくる、子供の笑い声。
風に揺れているタンポポは、淋しそうだった。
「また、泣いてるのか?」
昨日と同じように、頭の上から声が聞こえた。
昨日と変わらない、低い声。
すぐに、誰なのかわかった。
振り返ると、昨日とは違う場所に、新しい傷を作った、守屋くんがいた。
「・・・」
なにも言わなかった。
・・言えなかった。
さっきの先生の言葉が、私の言葉を邪魔して、先生に腹が立った。
守屋くんは、昨日と同じように、私の隣に屈んで、タンポポを触った。