風便り〜大切なあなたへ〜
「学校で、なにかあったのか?」
守屋くんは、タンポポの黄色を優しく親指で撫でながら、タンポポに視線を向けたまま言った。
だけど、優しい声だった。
「・・ううん、なにもないよ」
言えなかった。
先生が、守屋くんに関わるなと、近づくなと、そんなことを言っていたなんて、守屋くんには言えなかった。
「そうか・・」
守屋くも、それ以上は何も言わなかった。
ただ、タンポポを撫でていた手を、私の頭に持ってきて、優しく何回も撫でてくれた。
守屋くんの手から、優しさが伝わってきた。
また涙が止まらなくなった。
「お前、泣き虫だな」
「そんなこと・・」
ないって言いかけたけど、実際泣いてしまっているから、その先を言うのはやめた。
しばらく沈黙が流れたけど、嫌な沈黙じゃなかった。
守屋くんが、隣で優しく私の頭を撫でてくれているのが嬉しくて、この空気がとても落ち着いた。
昨日と同じように、なにも言わずに、隣にいてくれる、守屋くんが好きだと思った。
「なあ、俺・・・」
何分かたった頃、守屋くんが呟いた。
私の涙は、いつの間にか止まっていた。
守屋くんを見ると、また辛そうな顔をしていた。
どうしてそんな顔をするの?
守屋くんは、なにに傷ついているの・・?
他にも、聞きたいことが沢山あったけど、私から聞くのは、なんか違うと思った。
気にならないわけじゃない。
本当は、聞きたくて仕方ない。
だけど、それを聞いてしまったら、本当にもう、守屋くんには会えない気がした。