風便り〜大切なあなたへ〜





今日も、どこまでも広がっている空が、大きく見えた。

そよ風が吹き、いろんな音と、いろんな匂いが、私の中に入ってくる。


タンポポを触りながら、目を閉じた。

風が、私の髪をさらっていく。


今日は、きっと、守屋くんは来ない・・。

先生が、守屋くんの家に行っているから。


それに、ここにいても、会えるとは限らない・・。

昨日と、おとといが、守屋くんの気まぐれだったのかもしれない。


だけど、私はこのタンポポを見たら、帰れなくなった。


もしかしたら、また会えるかもしれない・・。


そんな小さな期待を胸に。



「何、やってんだよ」



急に声をかけられ、びっくりした。

昨日も聞いた、低い声。



「あ・・・守屋くん・・」



会えた・・。

本当に、会えた。

守屋くんに、会えた・・。


それだけで嬉しかった。


守屋くんは、いつものように、私の隣に屈んだ。



「なんで、いるの・・?」


「あ?悪いかよ」


「・・ううん、悪くないよ」



また、いつものように、沈黙が流れる。


この感じ好きだな。

なにも話さなくても、居心地がいい。

私はまた、目を閉じた。





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