風便り〜大切なあなたへ〜
「・・このまま、京都にでも住むか?」
「えっ?」
「・・・冗談だよ。本気にするな」
そう言って大和は小さく笑って、私の頭をクシャクシャと撫でた。
そのあと、大和は窓の外に視線を移した。
「私、それでもいいよ・・」
大和とずっと、一緒にいられるなら・・。
新幹線に揺られて、初めてこんな遠い場所まできた。
大和の手をしっかり握って、新幹線から降りると、少し異国に来たように感じた。
周りの言葉が、聞き慣れていないからか、大和と手をつないでいるからなのか、すごくドキドキした。
改札を通って、駅の外に出ると、私は大和を見た。
「大和、どこ行くの?」
「あ?決めてねえよ。衝動で来ちまったからな・・何も計画してねえよ」
「じゃあ・・私、やりたいことある!」
「なんだ?珍しいな」
大和は、目を見開いて驚いた。
私は笑顔で大和を見上げた。
「神社巡りしたい!」
「・・神社巡り?」
「うん!いろんな神社を巡るの!」
「そのまんまだな」
そう言って大和は小さく笑った。
「・・だめ?」
「そんなわけねえだろ」
「大和、ありがとう・・!」
私は嬉しくて、大和の手をブンブンと振り回した。
大和は笑顔で私の手を止めた。
「喜び過ぎ。あんまり、はしゃぐんじゃねえよ」
「だって・・」
「まあ、そんなところも可愛いけどな」
そう言った大和の笑顔が、眩しく見えた。
私は恥ずかしくなって俯いた。
顔が熱い・・。
「真子、顔上げろよ」
「・・・」
私はゆっくり顔を上げて、大和を見た。
「顔、真っ赤」
「・・・」
「可愛い」
そう言って大和は私の頭を、優しく撫でてくれた。
「・・大和、好き」
「知ってる」
そう意地悪に笑う大和に、私の顔は、もっと熱くなった。
大和の意地悪な笑顔も、大好きだよ。
京都に来ても、やっぱり外は暑い・・。
コンクリートからの照り返しがきつくて、額に汗がじんわり滲んできた。
遠くからは、蝉の鳴き声が響いている。
私と大和は、バスに乗った。