風便り〜大切なあなたへ〜
平日の昼間ということもあって、神社の中は、人がまばらだった。
なかには制服を着た、修学旅行生っぽい人たちもいて、私と大和は顔を見合わせた。
「私たちも、修学旅行生に見えるのかな?」
「どうだろうな?」
そう言って大和は、小さく笑った。
参道脇にある、手水舎で、雑誌に書いてあった通りにしてると、大和がそこの水を飲んでいた。
「大和!飲んじゃダメだよ!」
私は大和に叫んだ。
「お、おう・・」
大和はびっくりしたように、私を見た。
雑誌に、手水舎の水は衛生的に良くないと書いてあった。
私は大和にやり方を教えて、ちょっとでも間違っていないか見届けた。
「お前、怖えよ・・」
「怖くない!」
そう言って私は、大和を小さく睨んだ。
こういうのは、マナーが大事なんだよ?
きっと、ちょっとでも間違えると神様が怒っちゃうんだから。
そしたら、お参りしてもお願い叶えてくれないんだからね!
「そんな怒んなよ・・」
「怒ってない!」
そう言って私は、一通りちゃんと終えて、制服のズボンで手を拭こうとしている大和に、ハンカチを手渡した。
もう、がさつなんだから・・。
・・・でも、そういうところも、男らしくて好きだけど・・。
それから、手水舎から参道までの道を急ぎめに歩いて、私は、後ろから大和が来るのを待った。
「大和、早く!」
「あんまりはしゃぐと、転ぶぞ」
そう言って大和は笑った。
私は待ちきれなくて、大和のところに戻ると、大和の手を引いた。
「早く、早く!」
「そんなに急がなくても、神様は逃げねえよ」
「そうだけど・・」
「小せえ子供みたいで、お前、可愛いな」
そう言って大和は、私の頭を優しく撫でてくれた。
・・・私、子供じゃないもん。
私はちょっとムッとして、大和を見上げた。
「私、子供じゃないもん・・」
「知ってるよ。ちゃんと胸もあるしな」
「・・・」
そう意地悪に笑って、大和は私の胸に触れた。
私は恥ずかしくて、俯いた。
顔がものすごく熱い・・。
こんなところで、そんなこと言わないでよ・・。
それに、こんなところで触らないでよ・・。
恥ずかしい・・。
「真子」
私はゆっくり顔を上げて、大和を見た。
「すげえ、顔、真っ赤。可愛い」
「・・・子供じゃないもん」
「知ってるって」
そう言うと大和は、私の唇に軽く触れた。
「子供に、こんな事しねえよ」
「・・・」
私は、胸の奥が熱くなった。
顔も耳も熱くなって、目が潤んできた・・。