風便り〜大切なあなたへ〜
「泣くなよ」
「泣いてない・・」
そう言ったけど、私の頬には、涙が伝ってきた・・。
「意地悪して、悪かったよ」
大和は優しく、私を抱きしめてくれた。
私は周りに人がいるのが恥ずかしくて、大和からすぐに離れた。
「真子」
「ごめんね、大和・・でも、大丈夫だよ?」
私は大和を見上げて、微笑んだ。
大和は頭を優しく撫でてくれた。
「行くか」
「うん」
それから拝殿につくと、私は大和から五円玉をもらって、お賽銭箱に静かに放り込んだ。
そのあと、二礼して、二回手を叩いた。
小林真子です。
ずっと、ずっと、大和と一緒にいられますように・・。
神様どうか、このお願い、叶えてください・・。
それと、風香ちゃんと涼くんが、また一緒になれますように・・。
私は、それだけを強く願って、一礼した。
二つもお願い事しちゃった・・。
大和を見ると、まだ手を合わせていた。
大和は何をお願いしてるのかな・・?
ちょっと気になるけど、あんまり聞かない方がいいよね?
お願い事を口に出して言うと、叶えてもらえない気がする・・。
そのあと大和はすぐに一礼して、私の手を握った。
「ちゃんと、願い事したか?」
「うん」
私は笑顔で大和を見上げた。
大和は優しく微笑んでくれた。
「大和?」
大和と、参道を戻っている途中、後ろから大和を呼ぶ女性の声が聞こえてきた。
私と大和は後ろを振り返った。
振り返った先には、30歳くらいの、濃い化粧をした、露出の多い服を着た女性と、その両隣には、黒いスーツを着た若い男性が二人、立っていた。
「・・・」
「いっやーん!すっごい偶然!運命だわ!」
そう言って女性は、大和に抱きつこうとした。
大和は軽くよけると、その女性のお尻を蹴飛ばした。
女性は、豪快に転けた。
「ちょっと、大和!・・あの、大丈夫ですか?」
そう言いいながら私は、女性に近づこうとした。
だけど、大和に腕を掴まれて、引き戻された。
「大和?」
「あいつに、近づくな」
大和を見ると、ものすごい顔で、女性を睨みつけていた。
「ちょっと、あなた達!何ぼーっとしてんのよ!早く助けなさいよ!」
「はっ!すみません、香月様!」
「只今」
え・・香月様・・?
男の人たちは、女性に駆け寄って、丁寧に起き上がらせた。
大和は、私を背中に隠した。