風便り〜大切なあなたへ〜
「んもう!相変わらず大和ったら、愛情表現が激しいのね!」
「きめえんだよ、くそババア」
「いやん!もっと私を罵って・・!」
「・・・」
なに・・この人・・。
この人が、香月さんなの・・?
確かにちょっと、気持ち悪い・・。
「真子、俺から離れるなよ」
「うん・・」
私は大和のカッターシャツを、震える手で、ぎゅっと握った。
「なんでてめえが、ここにいるんだよ」
「あら、忘れたの?私の家柄。神社にもそれなりに用があるのよ?」
そう言って香月さんは怪しく笑った。
「ところで・・そこに隠れている、醜い子は、誰かしら?」
「・・・」
私は怖くて、ぎゅっと目を閉じた。
「ゃ・・まと・・」
大和の名前を呟いた声は、小さく震えて、掠れた。
「そう・・あなたが、小林真子ね・・私の大和を奪った」
「・・・」
私、奪ってなんかないよ・・。
「元から、てめえのもんじゃねえよ」
「酷いわ、大和ったら・・あんなに愛してくれたのに・・私の身体は、まだあなたの事、覚えてるわよ?」
「ぇ・・・?」
「・・・」
「あら?聞いてないの?大和の初めてはーー・・」
「聞くな!!」
大和は叫んで、香月さんの言葉を遮った。
「・・・」
大和・・。
もう遅いよ・・。
話の続き、予測出来ちゃったよ・・。
私は大和のシャツを握っていた手を緩めた。
大和、あの人と・・。
・・ううん。
今はそんなの、関係ない・・。
だって、昔の事だもん・・。
今は大和、私のこと、大事にしてくれてる・・。
私は大和を信じるよ・・。
「真子・・」
「・・大丈夫だよ。私・・大和から離れないよ・・」
そう言ってもう一度、私は、大和のシャツを握りしめた。
「まあ、なんて図々しい子なの?本当、見かけ通りの子ね」
香月さんの声色が変わった。
低くて、ドスの効いたような声に、私は大和にしがみついた・・。
「顔が拝めて良かったわ。どんな子かと思ったら、とっても醜くくて、大和には相応しくないわ」
「どう見ても、てめえの方が、醜いだろ」
「・・・それは、褒め言葉として、受け取ってあげるわ」
そう言って香月さんは、また怪しく笑った。