風便り〜大切なあなたへ〜





放課後になり、私は土手まで、早歩きで歩いた。

早く、守屋くんに会いたかった。

今日も、来てくれるとは限らないけど、じっとしていられなかった。


今日もタンポポが、揺れていた。

守屋くんは、いなかった・・。


私は道端に屈み、いつものように、タンポポを撫でた。



「今日も、頑張って生きてるんだね」



そうタンポポに話しかけると、また笑ってくれた気がした。



「小林」



名前を呼ばれ、振り返った。


いつもと、違う声。

いつもと、違う人・・。



「・・・先生」



私を呼んだのは、先生だった。



「今日は、守屋は来てないのか?」


「・・はい」



先生は、私の隣に座り、空を見上げた。

私も空を見上げた。

雲がゆっくり動いていて、時間の流れがゆっくりに感じる。



「いい場所だな」


「・・はい」



それから、二人とも無言になった。

ただ、時間と、雲だけが流れていく。

目を閉じると、いろんな音が聞こえてくる。



「なんで、あんたが、ここにいるんだよ」



ふと遠くから、声が聞こえた。


いつもの声。

だけど、その声はいつもより低く、怒っているようだった。





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