風便り〜大切なあなたへ〜
「・・・すまなかった」
「・・・」
また沈黙が流れた。
二人がなにを考えているのか、わからなかったけど、先生の気持ちと、守屋くんの気持ちが伝わってきた。
「・・・小林に、言われたんだ」
沈黙を破ったのは、先生だった。
私は、自分の名前が出てきて、ちょっとびっくりした。
「守屋が、傷ついた顔してるって、辛そうな顔してるって・・・先生なら、先生なら、助けてあげてって・・そう、言われたんだ」
守屋くんの手に、また力が入った。
「だから、俺はもう逃げないって決めた。ちゃんと、お前と向き合おうって」
「・・・」
守屋くんは、黙ったままだった。
だけど、私にはわかるよ・・。
守屋くん、さっきまでの顔と、全然違う。
辛そうな顔が、和らいで、少し穏やかになってる・・・。
「だから、守屋にも、俺と向き合ってほしい」
「・・・」
・・・先生の気持ち、ちゃんと私には届いているよ?
きっと、守屋くんにも、届いているよね・・?
だからもう、苦しまなくてもいいんだよ・・。
・・・長い、長い沈黙が流れた。
空が、夕焼けに染まりはじめ、風が冷たくなった。
カラスが帰っていく。
タンポポが、揺れた。
守屋くんの、涙で揺れた。