風便り〜大切なあなたへ〜





「・・・もう、わかったよ」



長い沈黙を破り、守屋くんが言った。

そのあと、守屋くんは、なにも言わずに俯いて、涙を流していた。



「・・・守屋くん、先生はちゃんと守屋くんのこと、見てくれてるよ?私も守屋くんのこと、ちゃんと見てる」


「・・・」


「だからもう、苦しまなくてもいいんだよ?存在価値のない人間なんて、この世界にはいないんだから」



私は、守屋くんに、なにか言ってあげたかった・・・。

こんな、誰にでも言える、ありふれた言葉じゃ、守屋くんには足りないかもしれない。

だけど、少しでも守屋くんの心が、苦しみから解放されるなら・・・。

ごめんね、こんなことしか言えなくて
・・・。



「・・・先生も、辛かったんだよね?」


「小林・・・」


「守屋くん・・先生、守屋くんから逃げたこと、後悔して泣いてたんだよ?」


「・・・」


「小林!それは言わなくていい!」



私の言葉に、先生は慌て出した。


守屋くんは、なにも言わなかったけど、もう大丈夫だよね?

先生の気持ち、ちゃんと届いたよね。



「守屋くん、顔上げて?夕焼けが綺麗だよ」



目の前に広がった夕焼けが、守屋くんを温かく見守っていた。

守屋くんは、顔を上げなかったけど、きっとこの日のことは忘れないと思う。


私も忘れないよ。

守屋くんが泣いている時に、いつでも守屋くんのそばにいてあげたい。

そう思った日だから・・・。

ずっと、ずっと、忘れないよ。





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