風便り〜大切なあなたへ〜
お昼休み、教室の外に、人が集まっていた。
そのほとんどが、女子生徒で、守屋くんを見にきているようだった。
ときどき、黄色い声が聞こえてくる。
「ああいうの、うざい」
守屋くんは、私の隣の席で、パンをかじりながら言った。
「え?」
「・・俺は、お前だけ、俺を見ててくれたらそれでいい」
守屋くんの言葉に、心臓が大きく飛び跳ねた。
「それって、どういう意味・・?」
「自分で考えろ」
守屋くんの言葉は、いつも難しい。
この間、私が守屋くんに言ったことを言ってるのかな?
先生も、私も、ちゃんと守屋くんのこと見てる。
そう言ったことを思い出した。
「・・うん、私、守屋くんのことちゃんと見てるよ?」
「・・・」
守屋くんは、一瞬動きが止まって、何も言わず、またパンにかじりついた。
私、ちゃんと守屋くんのこと見てるよ?
だから、守屋くんにも、私のことちゃんと見てほしい・・。
そんな、淋しい思いだけが増えていく。
「・・・だ・・」
「え?なに?」
守屋くんが何か呟いた声が聞こえてきた。
だけど、なんて言ったのか、聞き取れなかった。
「なんでもねえよ」
そう言って守屋くんは、ペットボトルのお茶を飲み干した。