風便り〜大切なあなたへ〜
「悪い、悪い。今まで、そんな声聞いたことなかったからな」
言いながら、先生はまだ笑っている。
自分でも、こんな声が出るなんて思ってなかった。
私は、ちょっとムッとしながら答えた。
「付き合ってないです」
私がそう言うと、先生の笑いがピタッと止まった。
そして、少しの沈黙が流れた。
「・・そうか、よかった」
そう言って先生は、安心したように微笑んだ。
・・先生?
「・・さて!続き、続き!」
そう言って先生は、資料をまた元に戻し始めた。
私はちょっと気になったけど、手元に残っていた資料を元に戻した。
資料を戻し終わると、先生にさよならを言って、土手まで急いだ。
あのタンポポを見るのが、もう私の日課になっていた。
先生のお手伝いをしていたから、学校を出た時には、もう空は、赤く染まっていた。
早く行かないと、すぐに暗くなってしまう。
いつもの場所に、人がいた。
屈んで、タンポポを撫でていた。
黒くなった髪に、大きな背中。
今日、学校に来てくれて嬉しかった人・・。
私の大好きな人・・。