風便り〜大切なあなたへ〜
「あんたには、関係ないだろ」
「心外だなー、生徒のことは、ちゃんと先生が把握しておかないと、いけないだろ?」
そう言って、先生は笑った。
「プライバシーの侵害だ、行くぞ」
そう言って、守屋くんは、私の手を取り、歩き出した。
私は、一応先生に挨拶しておこうと、振り向きながら叫んだ。
「先生、さようなら!」
先生は、なにも言わなかった。
「お前・・んなこと、言わなくていいんだよ」
「だって、一応・・」
「あいつに、優しくするな」
そう言って守屋くんは、強めに私の手を握った。
「・・守屋くん」
「大和って呼べって言っただろ」
「・・・うん」
大和・・。
心の中でそっと呟いた。
まだ、声に出して言うのは、恥ずかしいけど、大事に呼ぶよ。
「・・・もう、ここでいいよ?」
家の近くまで、昨日のように、守屋くんは送ってくれた。
私がそう言うと、守屋くんの足が止まった。
そして、優しく抱きしめられた。
私も、守屋くんの背中に、手をまわした。
守屋くんの、早い鼓動が聞こえてくる。
ずっと、こうしていたい・・。
しばらくして、守屋くんは、私からはなれた。
二人の間を、風が通り抜け、少し寒く感じた・・。
まわしていた手が、淋しかった。
「連絡する」
「うん・・ありがとう」
そう言って、守屋くんは帰っていった。
大きな背中が、愛おしかった。
携帯を見て、昨日教えてもらって登録した、守屋くんの名前を見つめた。
今まで会っていたけど、またすぐ、守屋くんに会いたくなった。