風便り〜大切なあなたへ〜
次の日、家を出たら守屋くんがいた。
呼び鈴を押そうか、迷ってるみたいだった。
「おはよう」
「・・おう」
守屋くんは恥ずかしそうに、呼び鈴に伸ばしていた手を引っ込めた。
私はそんな守屋くんが、可愛く見えて、小さく笑った。
「笑うんじゃねえよ」
「ごめん」
そう言ったけど、やっぱりおかしかった・・。
守屋くんは私の手を取り、歩き出した。
つられて私も足を動かした。
「大丈夫みたいだな」
守屋くんは、安心したように呟いた。
「え?」
「学校」
「・・・」
すかっかり、忘れていた・・。
学校に行くってことは、先生に会うってこと。
思い出したくないことが、蘇ってくる・・。
私は守屋くんの手を、ギュと握った。
「・・・大丈夫だ、俺がいる」
そう言って守屋くんは、私の手を握り返してくれた。
大きくて、ゴツゴツした、頼りになる手・・。
「うん・・」
学校までの道、土手の道端に咲いたタンポポに久しぶりに触った気がした。
いつも頑張っているタンポポ。
私は少し、元気を貰えた気がした。
「こいつも頑張ってんだから、お前も頑張れ」
「うん」
守屋くんの言葉に頷いて、私は覚悟を決めた。