風便り〜大切なあなたへ〜





学校からの帰り道、いつもの土手で守屋くんと空を眺めた。

穏やかな空だった。

気持ちのいい風に、人工的な音や自然の音。

優しい空気が、私と守屋くんを包んでいた。



「日曜、どこ行きたいか決めたか?」


「・・守屋くんはどこ行きたい?」


「俺が聞いてんだけど」



守屋くんはぶっきら棒に言った。

最近、私は守屋くんのこの言い方がとても好き。

最初は怖いと思ってたけど、今は可愛く思える。



「・・遊園地、行きたい」


「遊園地か」


「うん」



守屋くんは納得したように頷いた。

実は、私は絶叫系はほとんど苦手・・。

だけど、隣に守屋くんがいてくれるだけで、克服できそうな気がした。



「じゃあ、日曜の9時、ここに集合な」


「うん」



本当に守屋くんとデートできるんだ・・。

すごく嬉しい・・。


自然と顔がにやけてしまうのを、必死で我慢した。


守屋くんの私服ってどんなかな・・?

きっとカッコイイんだろうな・・。

私は何着て行こう・・。


いろいろ考えを巡らせていると、守屋くんの顔が近づいてきた。


・・え?

・・えっ!?


私は咄嗟に目をぎゅっと閉じた。

私の心臓は、どんどんスピードをあげていく。

だけど。しばらくしても何も起きなかった。

不思議に思って、私は目を開けた。



「期待してんじゃねえよ」



そう言って守屋くんは、意地悪な顔で笑った。

私はどんどん顔が熱くなり、恥ずかしさのあまり俯いた。



「・・真子」


「・・・」



守屋くんに呼ばれても、恥ずかしくて守屋くんを見ることができなかった。





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