風便り〜大切なあなたへ〜
「今日はもう、俺のこと苗字で呼ぶなよ」
「え?」
「大和って呼ばないと返事しねえからな」
そう言って守屋くんは、笑顔で私の頭を、クシャクシャと優しく撫でた。
私は顔を真っ赤に染め、小さく頷いた。
まだ、守屋くんの名前を呼ぶのには慣れてない・・。
心の中で呼ぶのにも、まだちょっと恥ずかしいのに、口に出してちゃんと言えるかな・・。
「じゃあ行くか」
「・・うん」
私が返事をすると、守屋くんは私の手を取り、歩き出した。
向かった先は、駅だった。
遊園地のある最寄りの駅まで、電車で移動する。
守屋くんは、駅で私に改札で待つように言うと、切符を買いにいった。
ちょっとの間だったけど、守屋くんと離れていた時間が、淋しく感じた。
「ほら」
そう言って守屋くんは、私の分の切符を渡してくれた。
私は切符代を払おうと、カバンから財布を出した。
「ありがとう、いくらだった?」
私がそう言うと、守屋くんは眉をしかめて、ぶっきら棒に言った。
「いらねえよ、今日は全部俺が出す」
「え・・そんなのダメだよ、ちゃんと払うよ?」
「いらねえって言ってんだろ」
そう言って守屋くんは、少し顔を赤くしながら、頭を軽くかいた。
「俺にも男のプライドがあるんだよ。お前が、俺のプライド、へし折るんじゃねえよ」
「・・守屋くん・・・」
「・・・」
私が守屋くんと呟いくと、守屋くんは不機嫌な顔をしてなんの反応もしてくれなかった。
「や、大和・・・」
そう言うと、守屋くんは満足したように微笑んだ。
「わかったか?」
「・・・うん」