風便り〜大切なあなたへ〜
守屋くんが向かったのは、やっぱり絶叫マシンだった。
私は、なんでもないような振りをしてたけど、順番が近づくにつれ、恐怖心が大きくなっていった・・。
しばらく並んで、ジェットコースターに乗ると、恐怖で目の前が霞んで見えた。
私は、守屋くんの手をギュと握って、目を閉じた。
「どうした?」
隣から守屋くんの声が聞こえてきたけど、口を開く前にマシンが動き出した。
「・・っ」
もう限界だった。
叫ぶこともできず、私は守屋くんの手を強く握った。
守屋くんは、そんな私に気づいてくれたのか、優しく手を握り返してくれた。
「なんで言わなかったんだよ」
ジェットコースターから降りて、フラフラと守屋くんに支えられながら、ベンチに座ると、守屋くんの怒った声が聞こえてきた。
「だって、守屋くんとなら平気だと思ったんだもん・・・」
「俺どんだけすげえんやつなんだよ・・俺そんな力持ってねえよ」
「・・・」
そうだよね、私が勝手にそう思ってただけなんだよね・・。
だって、守屋くんは私のヒーローなんだよ・・?
先生から私を助けてくれた、すごい人なんだよ・・。
だから、苦手なジェットコースターも克服できると思った。
だけど、現実はそんなに甘くなかった・・。
「ごめんね、守屋くん・・」
「あ?聞こえねえよ」
「・・ごめんね、大和・・私、迷惑かけてるね」
そう言って俯くと、涙が膝に落ちてきた。
泣きたくないのに、ジェットコースターの恐怖と、守屋くんに迷惑をかけて怒らせてしまった罪悪感で、勝手に涙が溢れてくる。
楽しいはずの時間が、私のせいで台無しになった・・。
「迷惑だなんて全然思ってねえから、泣くなよ」
そう言って守屋くんは、私の隣に座ると、優しく私の体を包み込むように抱き締めてくれた。
私、めんどくさい女だよね・・。
こんなんじゃ私、守屋くんに嫌われちゃう・・。