風便り〜大切なあなたへ〜
それから遊園地を出て、電車に乗った。
帰りの電車は、人が多くて座ることができなかった。
守屋くんは私を壁の方にやると、壁に手をついて私を見下ろした。
車内が混んでいることもあり、守屋くんがすごく近かった。
どうしよう・・。
これ、すごく恥ずかしいよ・・。
私の心臓は、鼓動を早め、ずっとうるさく鳴っていた。
「・・お前、その顔やめろよな」
急に守屋くんが、私の耳に囁いた。
守屋くんの熱い吐息が耳にかかって、うまく息ができなかった・・。
「瞳、潤ましてんじゃねえよ」
「・・・」
それだけ言うと、守屋くんは元の位置に戻って、私から視線をそらした。
守屋くんの伏し目がちな目が、また私の鼓動を早くした。
私も恥ずかしさのあまり、俯いた。
守屋くん・・。
私、守屋くんのことが好きすぎて、帰りたくないよ・・。
離れたくないよ・・。
守屋くんが、愛おしい・・。
私は守屋くんに抱きつきたい気持ちを抑えて、電車に揺られた。
たくさんの人がいたのに、守屋くんだけが輝いて見えた。
周りの音なんて聞こえてこなかった。
守屋くんの話す声と、私の心臓の音だけが大きく聞こえた。
電車から降りると、外はもう暗くなっていた。
朝来た道を帰りながら、大好きな手をしっかり握った。
「楽しかったな」
「うん・・」
私は守屋くんの方を見ないで、微笑んだ。
楽しかったけど・・。
だけど、私、守屋くんに何もしてあげれなかった・・。
今日は守屋くんの誕生日だったのに・・。