おためしシンデレラ
社長の決心


三村は結婚なんて面倒なだけだと思っていた。

アカの他人と一緒に住むなんて考えられなかった。



なのに。



何故莉子は受け入れられたのだろう。


三村なりに揶揄ったり、茶化して遊んだりしながらも、大切に扱っていたつもりだった。

それが恋とか愛だったのかと問われたら、答えは否だ。



あの夜までは。



あの日、花粉症の症状が酷かった三村は挨拶だけを済ますとパーティー会場を後にした。

マンションに戻り、玄関ドアを開けた途端、目に飛び込んできた光景。

男に組み敷かれた莉子。

声をあげようとした莉子を男が殴る。



オレのもんに何してやがる!



突如沸き起こった莉子への執着。



見合いで三村がバカにした男。

莉子がこんな目にあったのは自分のせいでもあるのかと思うといたたまれなかった。

病院に連れて行き、一見落ち着いたかに見えた莉子がバスルームであげた叫び声。襲われたときの恐怖がぶり返してきたのだろう。

莉子を落ち着かせるために、強く抱き締める。服が濡れようがそんなことは関係無かった。
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