おためしシンデレラ


ハウスクリーニングを一月の間断って、直に部屋も荒れるだろうとふんでいた三村の期待を大きく裏切り整然と保たれている家の中。

まあ、帰宅してから莉子は忙しそうに部屋の中を走り回ってはいるけれど。

三村の脳裏に子供の頃、遊びに行った友人の家で見たクルクルと滑車の中で走り回るネズミを思い出させるほど。

働きながら家事というのは確かに大変そうだ。残業が極力ない部署を希望する莉子の言い分にも充分頷けた。


穂村も三村の仕事のサポートはするが、課長という立場上、その他の重役の秘書たちの仕事にも目を配らねばならず日々の仕事はやはり莉子がいないと立ち行かない。

そういえば、アイツは有休や長期休暇も満足に消化していないのかもしれないなと三村が気付く。


だからといって莉子が自分から離れることを許すつもりはないんだけどな・・・・・と三村は苦笑した。
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