おためしシンデレラ


想像通り神戸に着くと、車を早々にパーキングに止めて三村が歩き始めた。その後ろを莉子が付いて行く。

流石に土曜日は人が多い。耳に日本語だけではなく異国の言葉も入ってくる。

不思議だ。
顔は日本人と変わらないのに言葉だけがちがう。

小柄な莉子は人に流されそうになりながら必死に三村について行く。幸いなことに長身なので三村を見失うことはない。

人間ランドマークやわ。

莉子がそう心の中で悪態をついた途端に三村が立ち止まって振り向いた。

あれ、何か漏れた・・・・・?と莉子が訝しげに三村を見ると急に手を取られる。

「〇✕△□※~~っっっ!?」

声にならない声をあげる莉子を三村が不遜に見下ろした。

「迷子になられると目覚めが悪いしな」

「なっなりませんよ!子供やあるまいし!」

ぎゅっと手を繋いで三村が再び歩き出す。手汗とかかいてないだろうかと莉子が心配しているのを三村は気にも留めない。

いつもこうやって女性とデートしているのだろうか。

すれ違う女の人たちが三村を見る。
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