おためしシンデレラ


「失礼しました。で、先程の電話の『クラブ都の雅さま』にはお花でも贈っておきますか?」

「要らん。どうせ一見だ。取引先に連れて行かれただけで2度と行かん」

「かしこまりました」

「お前、オレのこと節操無しやと思ってるやろ?」

思っているがそれがどうしたと口に出して言えないのがもどかしい。

「いえ・・・・・お付き合いされるのはお綺麗な方ばかりですし、それなりに選んではるとは思っていますけど?」

三村が一瞬眉間にシワを入れるも、そんなことでビビるような莉子ではない。

「お前な・・・・・お付き合いしてるのは『お綺麗で後腐れのない方』だ。認識を改めておけ」

「・・・・・なんだか誰とも本気で付き合えないサイテー男の言い草に聞こえますが?」

「違うな。本気にさせてくれる女がいないだけや」

なんでそんなエラソーに・・・・・。

「何でもいいですけど、大事にしたい奥様にしたい方を早く探してください。社内でも社長狙いの女性社員がいっぱいで独身男性社員が気の毒です」

溜息混じりで莉子がつい本音を漏らす。
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