俺たちの妹・3
「ほんとは診察まで一緒に居たいんだけど、今日は外来の日だからごめんね」

「ううん、ここまで一緒に来てくれただけでほんと十分だよ」

ほんと十分過ぎるくらい。


そんな話をしながら歩いていると

「よ、葵おはよ」

後ろから声を掛けられた葵。

「おぉ!楓じゃん!おはよ。ってか久々だよな」

まさかの楓くんだった。

「みぃちゃんもおはよ。久しぶりだね」

「楓くん、おはよ。元気だった?」

「俺は基本元気だよー。みぃちゃんは葵と仲良くやってる?」

「ふふ。うん、葵はいつも優しいから」

体調の事を聞かないのはきっと楓くんの優しさ。

この時間にここにいるって事は元気じゃないって言ってる様なものだから…

「葵、またゆっくり喋ろうぜ!みぃちゃんまたね」

そう言って楓くんは走って病院に入っていった。

「楓は救命で樹さんに指導してもらいながら頑張ってるんだよ」

「いっくんとなら頑張れるね。いっくん優しいもん」

「ふふ。俺らには厳しい時もあるけど、丁寧に指導してくれるから、基本優しい人なんだろうなーって思うよ」

「お仕事中はいっくんも厳しいんだね」

そんな他愛もない話をしながら、病院に入り、受付を済ませる。

「みぃ、ここで待ってたら呼ばれるから……」

「大丈夫、診察は慣れてるから。葵はお仕事頑張って」

少し心配そうな顔をした葵に笑顔を向ける。

「ありがと。頑張るよ」

葵は私の頭を撫でて、医局へ向かった。
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