雪の都 -ゆきのくに-
プロローグ

雪だるまさんがころんだ

ザクッ ザクッ びゅーん、 びゆーん・・・。


「今日は大雪だね。」


 氷のように冷たいガラスの外は 一面 真っ白になっていた。

そんなガラスに カエルみたいに びたーっと はりつく少女。

ワクワクして 自然に体が飛び跳ねている。

きっちり2つに分けて結んである 長い髪が パタパタ揺れる。


「ユズミ!家が壊れるでしょう!」


 少女の母の声が どえらい剣幕で響いた。

それでも懲りない少女は 再びバタバタと飛び跳ねながら外を見ている。


「ん? 誰かいるよ。こんな大雪なのに・・・ 」


「いるはずないじゃない。こんな大雪で」


 そう。この大雪は人が歩くことすらっまならないほど深く、

空から かき氷が降ってくるようだった。


 -だけれど 確かにいたのだ。

 少女はしっかり見た。 大きな人がこちらに歩いてくるのを・・・・


「おかいしな~」

その一言には 少女の幼い疑問がたくさん詰まっている。
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