雪の都 -ゆきのくに-
この日も少女は 雪だるまをつくった、

「この雪だるまを食べに また あの大男さんがくるかもしれない」

という期待をたくさんこめて 昨日よりも 大きく大きく 丸めた。


「これであとは 寝るだけだわ。」

次の日の朝、あの大男はやって来た。

すかさず少女は こっそりと近づき 大男の背中へ ダイブ!抱きついた。

「ぐぉあー」

おどろいた大男は 立ち上がり少女を振り回した。

「なんじぁ〜!」

少女は驚くものの、必死でしがみつき 離れない。

大男は とうとう観念したか、おとなしくなった。


「わたしはユズミ。あなた誰なの?」

大男は恥ずかしそうに大きな雪だるまの陰に隠れて

顔をブルンブルンと振りながら、モサっと毛を揺らした。


「名前が無いの?それじゃ あなたはモサモサだから 『モッサン』ね」

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