空を祈る紙ヒコーキ

 ずっと変な人だと思ってた。今もそう思ってる。だけど空は見た目以上にずっと大人だ。

 年上だから当たり前かもしれないけど、考え方が私とは全然違う。暁に対しても嫌な顔せず面倒見の良さを発揮するし、親達に対しても衝突することなくうまく返してる。

 ほんの数時間一緒にいただけなのに、空への評価がめまぐるしく変わっていく。それもいい方に。

 それでも、数日後に迎える高校の入学式への拒否感は消えなかった。家のことと学校のことはまた別。

『かわいそう! 勉強だけが取り柄だったのに何も無くなっちゃったね!』

 アミルの言葉を思い出し、また気持ちが沈んできた。卒業式の日、私が志望校に落ちたことを知って彼女は笑いながらそう言った。

 アミルの私への言動には常に色んな棘がある。他の友達には優しい面しか見せないのに、私には容赦なく不快なことを言う。いつもは愛想笑いのひとつでも貼り付けてアミルの言葉を聞き流していたけど、その時はひどく不愉快でイライラした。言い返す代わりというようにそれが顔に出ていた。

 私の気持ちに気付いたアミルは少しビクついたように顔を引きつらせると、あからさまに声のトーンを上げた。

『ま、世の中勉強が全てじゃないしそんなに落ち込まないでよっ。高校離れるけどLINEするしさ。また遊ぼうねっ』

 もう二度と会わないと決めたアミルの声音が耳にこびりついて、高校生活に不安ばかりが膨らんだ。










初めての味方(終)


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