拗らせ女子に 王子様の口づけを

「いいじゃない。で?楽しかった?」

忙しいランチ時、混雑している店内で私達の話を気にしている人など誰もいなかった。
当たり前の事とはいえ慣れない単語にドキドキしてしまう。

「っ、た、楽しかった」

休み前に三矢から告白されて、約束通り一緒に出掛けたのは昨日の事だった。
場所は水族館。
なんて定番なデートコースなんだ。


『言っとくけど、デートだからな。ちゃんと意識しろよ?』

そうはっきりデートだと言われて誘われた。
気持ちがついていかなくて気が引けると思っていたけれど、三矢はそれでもいいから一緒に行こう?と言ってきた。

『俺が、お前と出掛けたいんだよ。悪いとか。気が引けるとか忘れて、ただ単純に水族館は嫌いか?』

『…………好き』

『じゃあそれでいいじゃん。楽しもうぜ』

『……っ、どうしよう。三矢が優しすぎてイケメンすぎる』

『クククッ。じゃあさっさと堕ちろよ』

『いやー逆に人たらし過ぎて。勉強になるわー』

『人たらしとか。ひでぇ』


相変わらず人の気持ちを本当に軽くしてくれる。
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