拗らせ女子に 王子様の口づけを
「変えてなかったんだね、この子」
「んっ?あぁ車?そろそろ変え時ではあるんだけどな、初めての車だし愛着もあってな」
「ふふふ。私もこの子好き。見慣れてるしね」
「だろ?」
「もし、変えたら……また一番最初に乗せてね」
「ハハハッ。まぁまだどうすか分かんないけど、その時は沙織が一番な。分かったよ」
「うん。約束ね」
ハイハイと、左手で頭をポンポン軽く叩く。この空気が好き。
優しく守るように私に触れる。
嬉しくて、でも切なくて。
これでもかってほど『妹』だと自覚させられる。
矛盾してるよね、私も。
「で?昼はどうするんだ?」
ふぅ。
と一息ついて、気持ちを浮上させる。
「あのね、カンパネラに行きたい」
「りょーかい。パスタの気分?」
「そう。トマトクリーム食べたい」
「相変わらず好きだな」
「でも、ビスマルクも食べたい。半分こしよ?」
「あぁ。俺も食べたいな、それ」
私がトマトクリームパスタに、奏輔はカルボナーラ。ビスマルクのピザは半分にして。
いつもと同じ変わらないメニュー。
変化を望まないのはお互い様なのかもしれない。