拗らせ女子に 王子様の口づけを
ドアから離れて、隣の椅子に腰かける。
長い足を窮屈そうに机のしたで組み、
再び「どうした?」なんて聞いてくる。
何度も言うが、こりゃモテるわ。
「なんでもない」
体を起こし、机に散乱しているサンプルを片付けながら首を横に振る。
三矢が疑うような視線をよこすのに気づいて、「大丈夫」と微笑んだ。
「高宮さんのカーテンと照明のプレゼン。だいたい予算内で提案はさせて貰ったけど20代後半の若いカップルだったよね?」
私が関わるお客様は、大抵が契約後がほとんどだ。このプレゼン資料を事前に確認してもらい、来週顔を合わせて実物をみながら打ち合わせをしなくてはならない。
と、いうことは秦野さんと連絡を取らなければならないと言うことだ。
考えても仕方がないけれど、胸がざわざわする。
仕事だ。
きちんとしなくちゃ。
いつも通りしているようで、思わずしかめた顔をしていたんだろう。
隣からニュッと腕が伸びてきて、私の眉間を三矢がバチッと弾いた。
「眉間、寄りすぎ」
「いったぁーい!痛いよ三矢。何すんの」
「……、今日暇か?」
「えー?」
「長瀬さんに許可貰って、メシ、行くぞ」