拗らせ女子に 王子様の口づけを

弾かれた眉間に手をやり、軽く擦りながら痛みを和らげていると、三矢が笑いながら言った。
本当、優しいんだから。


「まる太、行きたい」
「はぁ?たまには違うところ行こうぜ」
「じゃあ……ラーメン食べたい」
「色気ねぇなー」

「別にみのりの許可はいらないよ?」
「駄目。長瀬さんに約束させられたから」
「はぁ?」
「認めてもらうまでは、ちゃんとする」
「意味が分かんないんだけど?」


「子供じゃあるまいし」と憤慨しながら他愛ない会話で気分を上げ、私を心配して誘ってくれた事が嬉しかった。
同期の中でも同じ設計ということで他の同期と比べれば格段に気の許せる相手だった。
今までは会社の人達とはいえ、社外で会うような事などしたいとも思えなかったが、一人でいると答えのでない渦巻く感情が重くのし掛かり気分も滅入る。
たまにはいいか。

奏ちゃんやみのり以外の人と出掛ける気分になるのも本当に久しぶりだった。





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