拗らせ女子に 王子様の口づけを
そんな台詞を照れることなく吐くなんて、なんて罪作りな男なんだろう。
何も聞かずにいてくれる、そんな気遣いすらも完璧だ。
三矢の優しさに感謝しつつ、イケメン過ぎる三矢をジロリと睨むように眺めると、片眉をあげて「なんだよ」と訴えてくる。
本当、いちいち格好いい。
「イケメンは何してもイケメンなのね。誤解されて刺されないように気を付けてね」
「は?」
「私もイケメンになりたい。イタッ!」
呆れた視線で三矢が頭にチョップする。
「意味が分からん。ほら、行くぞ」
ホームに電車が入ってきて、乗り込んだ。時間的に帰宅する人も多く、座ることは出来なかったが、入口の横に滑り込むことができてポールにしがみつく。
だって、手すりは高くて持ち続けれないもの。
朝のラッシュほどではないけれどそこそこの乗車率。
いつもより近くで見る三矢の顔がだんだん赤く染まる。
「ねぇ、顔赤いよ。暑いよね、大丈夫?上着脱げたらいいけど……さすがに今は脱げないし、あと少し頑張ってね」
三矢を見上げて、話しかけるもぶっきらぼうに「大丈夫」とだけ話す。その態度に疑問を感じつつも、車内だしな、と私も黙った。
その日は、ラーメンを食べて家に帰った。
店から家までは10分ほどだからここでいいと三矢に言っても聞き入れてもらえず、結局マンションまで送られた。
満足そうに頬を緩め、じゃあな、と帰る三矢はやっぱりイケメンで。
「ごめんね、ありがとう。三矢も、襲われないように帰ってね」
「ククッ、アホか」
この世のなか男でも危ないからね。
イケメン三矢が無事に帰れるように声をかけた。