拗らせ女子に 王子様の口づけを
※ ※ ※
「ねぇ、みのり。私決めた」
「何を?」
「奏ちゃんの事。告白する」
「そう。頑張って」
梅雨もあけた7月の終わり、久しぶりにみのりと会って最近駅近くに出来たスペイン料理のお店に来た。
ここ最近悩みに悩んで出した結論を、軽く流された。
「みのり!もうちょっと、もうちょっと私に優しく……」
うっうっうっ。
と、「胃に穴が開くほど悩んだ私の決意を!」と訴えても「あいてないじゃない。何回目よ」とすげなく返される。
冷たい。
口を尖らせて「今回は違う!」と拳を握りしめた。
「あのね、奏ちゃんの口から女の人の名前が出たの」
そう言うとギロリと切れ長の目を細めて
「沙織、まさか私との約束破ってないわよね」
と凄まれた。
「大丈夫、たぶん破ってない!まだ彼女かどうか分かんないから」
手と首をぶんぶん振って無実を訴えた。
「さっさと確認しなさいよ。あんたいつもは即行聞いてたじゃない」
「うん……そうなんだけどね」
「えっ、ちょっと、どうしたのよ沙織?」
少し落とした声のトーンをあっけなく見破り、なんだかんだと私の事をみのりは心配してくれる。