知らない彼が襲いにきます
それからというもの、私はエヴァンのことを頭から振り払おうとするかのように、父から与えられる仕事に没頭した。


一日中屋敷の雑用に明け暮れて、手先はぼろぼろだ。


そして――例の淫魔は、最初に私と出会った時から、毎週土曜日の深夜十二時、必ず私の部屋を訪れるようになった。


そして、一言も喋らずに私を抱いては帰っていくのだ。



「今日も、来るのかな……」



あれから約三ヶ月の月日が過ぎたとある土曜の夜。


私はベッドの中から窓を眺めていた。


あの淫魔に会うたび、身体は私の意に反して彼にどんどん溺れていってしまっているような気がする。


名前も出身も、個人的なことが一切分からない彼に抱かれるのは怖い。


しかし、彼の深緑色の瞳でじっと見つめられると、そんな恐怖は欲望で上塗りされてしまうのだ。


彼が私に与える快楽が、あまりに刺激的で、あまりに甘いから。
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