夜明け前に灯を
君の心の中

私、お星様って好きよ、だから大きくなったら優星くんのお嫁さんになる!って、ここで言ったよね、ちょうど9年前。
みんなは学校で優星くんの名前からかってたけど、私は今でも優星くんの名前素敵だと思う。
みんな暁ばっかり注目してたけど、紛れもなく優星くんはお兄ちゃんでしょ。
つまり、夜明け前の優しい星がなかったら、朝陽も見れないってことなのよ。
なんだろ、確かに2人は双子だし、どっちも幼なじみだけど、暁のことは暁って呼べても優星くんのことは丁寧に呼びたくなる。
呼び捨てにしちゃいけないんじゃないかって思うくらい、大切で特別なの。
だってほら、ホワイトデーにちゃんと私の好物覚えてて毎年黄桃の缶詰めくれるのなんて優星くんだけだよ。
どの行事でも補欠や脇役ばっかりやってたけど、優星くんがみんなのためにいつも消毒液と絆創膏持ち歩いてるのも、私知ってた。
隣の席の子が教科書忘れて先生に怒られそうだと、自分のまるごと貸しちゃって自分が濡れ衣被ってる優星くんも見てた。
本当に本当に、優しく光るお星様みたい。
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