愛は尊い


リビングに行くと
男は昨日と同じソファに座り
楓さんは男の胸に収まっている


この前来た時と、同じ…ではない
黒崎さんはいない
黒崎さんの代わりに
白衣を着たおじいさんと
中年のおばさんがいた



「で、決まったか?」


ニヤリと口角を上げた闇金の男
私の答えをわかっていて言っている
わざと、だ


『…借金、まるまる…無くなるんですよね?』


「あぁ、あの工場がいくらで売れる…かなんて俺には関係ねぇが、その金額以上に借金はでかい。借金払ったとしても、相当な金が残るだろう」


相当な金が残る?
どういう意味か…
気になったが、借金がなくなるのならと
私は闇金の男の提案を受けた



「音ちゃんの選択は間違ってないわ。それにね、ちゃんと愛してくれる人もいるのよ?」


楓さんは頬を赤らめながら
闇金の男の顔を見上げていた


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