クールな御曹司と愛され政略結婚
涙をこらえているせいで、ふてくされたしかめ面になっている私を、灯が困り顔で見下ろす。
「なにが言いたいんだよ、唯…」
「もしお姉ちゃんが、昔の関係に戻ろうって言ってきてたら、どうした?」
「昔の関係って」
「私、ずっと前にも一度、聞いたよね」
ぐいと向こうの胸を押すと、灯が半歩、後ろによろけた。
白いシャツは、灯の素肌と同じ温度になっている。
「灯は、お姉ちゃんとつきあってたよね?」
灯の視線が揺れた。
なにか言おうとする様子を見せて、一度飲み込む。
それでも、前よりはちゃんと答える姿勢を見せてくれた。
「つきあってたって言葉は、少なくとも俺の認識としては、正しくない」
「なにそれ」
「要子は…別に、俺だけじゃなかったし」
なにそれ。
はっきり言ってよ。
私が聞かなきゃならないの?
要するに、お姉ちゃんと寝てたんだよね、って?
口にしたくもないよ、そんなの。
でもそれは灯も同じらしく、お互い続ける言葉を見つけられずに、私たちは視線を絡ませたまま黙った。
「それはルール違反だ、唯子」
突然、思いもしない声が話しかけてきた。
はっと来たほうを振り返れば、姉が立っている。
なんで、という私たちの問いかけより先に、姉は顔の前で灯のジッポを揺らしてみせ、前置きもなく、そこそこの勢いで投げた。
灯がそれを、片手でキャッチする。
「なにが言いたいんだよ、唯…」
「もしお姉ちゃんが、昔の関係に戻ろうって言ってきてたら、どうした?」
「昔の関係って」
「私、ずっと前にも一度、聞いたよね」
ぐいと向こうの胸を押すと、灯が半歩、後ろによろけた。
白いシャツは、灯の素肌と同じ温度になっている。
「灯は、お姉ちゃんとつきあってたよね?」
灯の視線が揺れた。
なにか言おうとする様子を見せて、一度飲み込む。
それでも、前よりはちゃんと答える姿勢を見せてくれた。
「つきあってたって言葉は、少なくとも俺の認識としては、正しくない」
「なにそれ」
「要子は…別に、俺だけじゃなかったし」
なにそれ。
はっきり言ってよ。
私が聞かなきゃならないの?
要するに、お姉ちゃんと寝てたんだよね、って?
口にしたくもないよ、そんなの。
でもそれは灯も同じらしく、お互い続ける言葉を見つけられずに、私たちは視線を絡ませたまま黙った。
「それはルール違反だ、唯子」
突然、思いもしない声が話しかけてきた。
はっと来たほうを振り返れば、姉が立っている。
なんで、という私たちの問いかけより先に、姉は顔の前で灯のジッポを揺らしてみせ、前置きもなく、そこそこの勢いで投げた。
灯がそれを、片手でキャッチする。