クールな御曹司と愛され政略結婚
あれえ…。
ちょっと頭を整理しようかな、と目をつむってこめかみを揉んだ。
要するに、全部、いやほとんど私の勘違いだった、と…。
10年…。
結果オーライという言葉と、それでいいのかという疑問が行き来する。
突然、おでこに激痛が走った。
「いったーい!」
「お前、俺になにか言うことないのか」
「誤解してました」
「それだけかよ!」
指で弾かれた額を押さえ、ほかになにを言えと、という気持ちでふてくされた。
灯が片手に顔を埋め、疲れた声を出す。
「要子と結婚とか…考えただけで精力絞り尽くされる…」
「そこまで…」
「あいつが俺を取るとか言いだしたときだって、もう、フラッシュバックっていうか、こう」
「ご、ごめん」
これは、姉に関する相当なトラウマがある感じだ。
姉のほうからも話を聞きたいな、と薄情なことを考えていたのがばれたのか、指の間からじろりとにらまれた。
けどすぐに、気を落ち着けるようにふうと息をついて、灯が身体を起こした。
「でもまあ、お前たちは姉妹だし、たぶん複雑な思いが唯にもあったんだよな。そこは俺、あんまりわかってやれない部分で、無頓着すぎたのかなと反省もしてる。悪かった」
「そんな」
「さて」
だしぬけに灯が、ナプキンをたたんでテーブルに置いた。
いきなり話を終わらされる気配に、えっと私は慌てる。
「どうしたの?」
「実は上に部屋をとってある」
「ええ!?」
「誤解も解けたことだし、楽しもう。オーシャンビューのスイートだぜ」
このホテルのスイートって、おいくら! と下世話な発想がまず浮かび、いやそれよりも、と目先のことに頭を戻した。
灯はもう席を立って、私を待っている。
ちょっと頭を整理しようかな、と目をつむってこめかみを揉んだ。
要するに、全部、いやほとんど私の勘違いだった、と…。
10年…。
結果オーライという言葉と、それでいいのかという疑問が行き来する。
突然、おでこに激痛が走った。
「いったーい!」
「お前、俺になにか言うことないのか」
「誤解してました」
「それだけかよ!」
指で弾かれた額を押さえ、ほかになにを言えと、という気持ちでふてくされた。
灯が片手に顔を埋め、疲れた声を出す。
「要子と結婚とか…考えただけで精力絞り尽くされる…」
「そこまで…」
「あいつが俺を取るとか言いだしたときだって、もう、フラッシュバックっていうか、こう」
「ご、ごめん」
これは、姉に関する相当なトラウマがある感じだ。
姉のほうからも話を聞きたいな、と薄情なことを考えていたのがばれたのか、指の間からじろりとにらまれた。
けどすぐに、気を落ち着けるようにふうと息をついて、灯が身体を起こした。
「でもまあ、お前たちは姉妹だし、たぶん複雑な思いが唯にもあったんだよな。そこは俺、あんまりわかってやれない部分で、無頓着すぎたのかなと反省もしてる。悪かった」
「そんな」
「さて」
だしぬけに灯が、ナプキンをたたんでテーブルに置いた。
いきなり話を終わらされる気配に、えっと私は慌てる。
「どうしたの?」
「実は上に部屋をとってある」
「ええ!?」
「誤解も解けたことだし、楽しもう。オーシャンビューのスイートだぜ」
このホテルのスイートって、おいくら! と下世話な発想がまず浮かび、いやそれよりも、と目先のことに頭を戻した。
灯はもう席を立って、私を待っている。