クールな御曹司と愛され政略結婚
ベッドから降りようとすると、肩を掴んで引き留められた。

なんだよもう、と振り向くと、なにやら必死な様子の灯がいる。



『お前、正気か、行きずりとか』

『正気だよ。探せば私レベルでもいいって言ってくれる人、見つかるでしょ』

『やめとけ、絶対痛い目見るから』

『私、そんなに対象外?』

『そういう意味じゃないって…』



途方に暮れたように弱々しく言って、灯が顔を覆ってしまう。

やがて、手の向こうから声が聞こえてきた。



『…俺が相手してやったら、ほんとにそれで満足するか?』

『してくれるの?』



私は灯に飛びついた。

灯の手が外され、苦虫を噛みつぶしたような顔が現れる。



『約束しろ、俺の次には絶対に、好きな男を選ぶこと、わかったな』

『もちろんだよ、そのために捨てるんだもん』

『その男に俺が恨まれないようにしろよ…』

『なんで恨まれるの? 処女だったら私、遠慮しちゃってその人とはできなかったかもしれないのに』

『もういいや…』



灯はなにかをあきらめた風情で、とりあえず実家では気持ち的に絶対できないから、一人暮らしの部屋のほうに来るよう私に言った。

引っ越しの直後以来行っていないので場所を忘れたと応えたら、学校まで迎えに来てくれることになった。


さあ、これで身軽になれる!

私は安心し、浮かれた。


数日後、校門で私を待っていてくれたのは、灯と灯のバイクだった。



『わあ、仮面ライダー!』



かっこいいバイクだと褒めたつもりなのに、灯はがっかりした顔で『ごめんなバリオス、今からバカ乗せるからな』と悲しげにバイクに語りかける。
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