【短編集】その玉手箱は食べれません
「そんなものでどうするの?」
「おれが嫌いなものがようやくわかったよ」
「私?」と言って元カノは自分の顔を指差す。
「自分のことよくわかってるじゃないか。でも、君は2番目に嫌いなことがわかった」
「2番目?1番じゃないんだ」
元カノは安心したように微笑む。
「この世で1番嫌いなのは……おれの体の左側にあるものさ……」
おれはコンクリートの破片を自分の心臓目掛けて突き刺した。