【短編集】その玉手箱は食べれません
「?!」
コンクリート片は呆気なく、おれの体に当たってパラパラと崩れていく。
「残念ね。あなたの傍に落ちていたコンクリートの破片はわざと私が置いたの。あなたがそれを使って自殺するかどうかを確かめるためにね。見た目は尖って心臓まで到達しそうだけど、この部屋のコンクリートは長年の湿気のせいで脆いのよ」
「おれは本気だ!」
「いまのあなたの行動を見てわかったわ」
「あ、諦めてくれるのか?」
「結婚は諦めないわよ」
「いい加減にしてくれ!」