【短編集】その玉手箱は食べれません
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目を開けたとき、おれは豪華な披露宴会場の主役となっていた。
真っ白いタキシードを着せられ、椅子に座らされている。ただ、残念なことに楕円形のオーバルテーブルに列席者はいない。
「フフフ……」
元カノはおれの腕を掴んで笑っている。胸元がざっくり開いた派手なウェディングドレスを着て。
「どういうつもりだ?」
おれは動揺を抑えて訊く。
「あら、気づかないの?」
「なにがだ?」