【短編集】その玉手箱は食べれません
「謝罪しろ!慰謝料をよこせ!」
おれは手短に要求を伝えた。
「落ち着くんだ。話し合えば解決できる問題だ」
担当医は手のひらを突き出して抵抗しないという姿勢をみせた。
「具体的な解決策はあるのか?貧乏人は法廷で争っても勝てないからな。病院は優秀な弁護士をたくさん雇って名誉を守るつもりだろ?こんなに世の中は科学が発達してるのに病院内で起こる医療事故をもみ消そうとする体質はどうして変わらないんだ?」
おれはひと昔前のテレビドラマのような台詞で涙ながらに訴えた。