【短編集】その玉手箱は食べれません


「殺(や)るのは簡単さ。銀の弾丸を片っ端から打ち込んでやったのさ」

 おれの発言のあと、バーテンは背伸びをしてカウンター内から赤褐色の毛並みをまとった狼男の亡骸を確認した。


「カクテルは作れるか?」


「もちろん。なにがいいですか?」


「シルバー・ブレット(銀の弾丸)」

 おれは注文を告げ、ウィンチェスターライフルをコートの内側から取り出してカウンターに立てかけてから椅子に腰を下ろす。


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