【短編集】その玉手箱は食べれません


「しゃれてますね。かしこまりました」

 バーテンはシェイカーにドライジン、キュンメル、レモンジュースと氷を入れ、軽やかなリズムで振る。


「どうぞ」


「ありがとう」

 カクテルグラスに注がれたジンベースのシルバー・ブレットをあおるとアルコールが適度に喉を刺激した。


「余計な心配かもしれないが、こんな危険な街で商売を続けていられるのか?」

 おれは本気で心配して尋ねた。


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