【短編集】その玉手箱は食べれません


「あなたのようなお客様が来てくれるので結構繁盛しているんですよ。いまはたまたま客が来ない時間帯なだけです」

 バーテンは白い歯を見せた。


「ということはおれのような賞金稼ぎがたびたびここを訪れるのかい?」


「はい」

 バーテンがにこやかに返事をした。


「狼男を仕留めた奴をどれくらい見かけた?」


「一人もいません」

 バーテンからサッと笑顔が消える。

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