【短編集】その玉手箱は食べれません


 口の裏側に風穴が開いた狼男は頭から倒れると、見る見る毛が抜けて端整な顔立ちの青年へと変貌していく。


 バーテンが息絶えた狼男を見て忠告するように言った。

「狼男は人間の姿で死んだとき、本当の死を迎えることができるんです」


「うかつだった」

 おれは頭を掻いた。


「すごい腕前と勇気だ。ちょっとそのライフルを見せてもらえませんか。私もそろそろ護身用に銃を買おうと思っていたところなんですよ」


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